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令和3年度介護報酬改定、プラス改定をすべき事情は見出せない ー 財務省

 公的介護サービスの公定価格である介護報酬の3年に1度の改定時期が2021年度に迫り、政府内の議論が本格化している。
焦点の新型コロナウイルスの影響を巡り、厚生労働省は「感染防止策を講じる事業者の経費が増える」とプラス改定を求め
ている。これに対し、財務省は「負担増の環境にない」と利用者負担が増すことにつながる報酬増に慎重な立場だ。
 
 介護報酬は法律に基づき、事業所が所在する地域等も考慮したサービス提供に要する平均的な費用の額を勘案して設定さ
れる。保険料、税、利用者負担で賄われる介護費は年12兆円で、改定率1%で金額にすると1200億円が変動する。
15年度はマイナス2.27%、18年度はプラス0.54%だった。プラス改定なら利用者負担や保険料、公費支出が増える一方、
事業者の収入は厚くなる。
 
 これまで主に厚労省の審議会を舞台に改定内容を検討してきた。これに対し、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が2日、
介護分野について議論。財務省は近年の事業者の経営環境に触れ「プラス改定にする事情がない」と主張した。厚労省調査に
よると、19年度決算で利益率は2.4%と、サービス産業全体の中小企業(2.5%)と同程度の水準だった。
 
 財務省はコロナによる介護事業者への影響についても、施設の利用を控える動きは6月以降に改善したと指摘。
消毒など感染防止による事業者の負担増は総費用の0.3%程度だと試算し「大きな影響はおよぼしていない」と訴えた。
影響が大きい地域やサービスに対象に絞った報酬の臨時的な加算を提案した。
 
 厚生労働省は令和3年度概算要求の中で「新型コロナウイルス感染症への対応など緊要な経費」は別途要望するなど、
次期介護報酬改定では、新型コロナウイルスの影響が一つの焦点として挙げられている。
                                            (以上:日経新聞電子版)
 
介護現場における経営状況、感染状況、そして財政負担を勘案してどのような結論を迎えるのか、今後も注視が必要だと思います。