年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律案が、国会にて
可決成立しました。
昨年は、5年に一度の年金制度に関する財政検証を行う年で、財政検証結果を踏まえて、
厚労省社会保険審議会年金部会において、下記の二つを大きな柱として議論されてきました。
Ⅰ 多様な就労を年金制度に反映する被用者年金保険の適用拡大
Ⅱ 就労期間の延伸による年金水準の確保充実
議論を通じて、次のような改正が随時実施されます。
Ⅰ 被用者保険の適用拡大
(1)短時間労働者を被用者保険の適用対象とすべき事業所の企業規模要件について、段階的に引き下げる。
(現行500人超→令和4年10月から100人超→令和6年10月から50人超)
(2) 5人以上の個人事業所に係る適用業種に、弁護士、税理士等の資格を有する者が
行う法律又は会計に係る業務を行う事業を追加する。
Ⅱ高齢期の就労と年金受給の在り方
(1)60歳から64歳に支給される特別支給の老齢厚生年金を対象とした在職老齢年金制度について、
支給停止とならない範囲を拡大する。
(2) 高齢期の就労継続を早期に年金額に反映するため、在職中の老齢厚生年金受給者(65歳以上)の
年金額を毎年定時に改定することとする。
(3)受給開始時期の選択肢の拡大とし、現在60歳から70歳の間となっている年金の受給開始時期の選択肢を、
60歳から75歳の間に拡大する。
その他、確定拠出年金の加入可能要件が見直しをされ、中小企業向け制度の対象範囲が拡大されます。
コロナ禍の影響で、報道も隠れがちですが、中小企業においては非常に影響のある改正事項となります。
また、適用拡大と併せて、1億総活躍といいながら、第3号被保険者の保険料負担について議論されないことは
年金財政維持の点からも疑問を感じます。