これからの人事制度の構築や変更を検討する段階では、正規・非正規間における「均衡・均等待遇」を意識して、2018年7月に公布された「働き方関連法」に関する法改正の内容をしっかりと把握することが大前提で、これに先立つ働き方改革のロードマップである政府の「働き方改革実行計画」を理解することが時代に適合した人事制度を構築する絶対不可欠になります。
お客様に、人事制度を創る(見直しをする)目的を確認させていただきますと、こんなお悩みをもっていらっしゃいます。
さらに、退職金制度においても、
このように、お客様によって「人事制度」「退職金制度」のご相談は多種多様です。
人事制度は時代とともに変遷を遂げています。人事制度は経営者の関心以上に、従業員にとっても日々の生活に多くの影響を与えることになります。運用が上手くいかないと、職場内の日々の人間関係や精神的ストレスに発展する悩ましい存在となり得ます。人事制度は、その成否によって、従業員のモラール(士気)ばかりか、企業業績まで左右しかねない企業共通の重大な経営課題であると考えています。
ところで、従業員のモラールを上げるための人事制度を策定改定するうえで、大切なポイントがあります。多くの方が、ご存知のハーズバーグの「動機付け衛生理論」とマズローの「欲求5段階説」です。
「動機付け衛生理論」では、動機付け要因で仕事の満足に関わるのは、「達成すること」「承認されること」「仕事そのもの」「責任」「昇進」などです。これらが満たされると満足感を覚えるが、欠けていても職務不満足を引き起こすわけではありません。衛生要因で仕事の不満足に関わるのは「会社の政策と管理方式」「監督」「給与」「作業条件」などです。これらが不足すると不満足を引き起こしますが、満たしたからといっても満足感につながるわけではありません。単に不満足を予防する意味しか持たないということです。
つまり、人事制度を策定・改定する場合の大切な視点は、従業員の仕事に対する満足度を促進するツールであり、単に結果主義で、短期で目標を達成した人に給与をより多くフィードバックするような人事制度は制度として機能しなくなる可能性があります。また、給与に関しては、衛生要因であり給与を仮に上昇させるだけでは、最終的な満足には至らないということです。
「欲求5段階説」は、マズローのモチベーション理論で人間の欲求を5段階に分類し、重要性に従ってそれらが階層構造をなしているとしました。低次元の欲求が満たされれば、さらに高次元の欲求を満たすべく行動するという考えで、5段階の分類は以下の通りです。
動機付け要因は、マズローの欲求段階説でいうと「自己実現欲求」「自尊欲求」さらに「社会的欲求」の一部に該当する欲求を満たすものとなっています。衛生要因は、マズローの欲求段階説でいうと、「生理的欲求」「安全・安定欲求」と「社会的欲求」の一部の欲求を満たすものとなっています。
つまり、企業の業績を進展させ、企業を成長させる目的において、人事制度は、従業員の欲求と企業目的を高次元でバランスよく保つことであるといえます。