サービス就業規則・雇用管理

就業規則は、会社の理念を反映させた、社員が働くうえでのルールブックです。
社員が働くうえでのルールがなければ、組織は成り立ちません。時代の変化と法改正に迅速に対応し、日常就業規則に基づき運用できる組織体制を支援させていただきます。
また、労働トラブルの多くは、適切な雇用契約が履行されていないことによる原因が多くあります。業種や職種に応じた誓約事項を構築する支援をさせていただきます。

就業規則・雇用管理イメージ

就業規則とは

  • 就業規則は、会社理念を反映させた、会社と社員のルールブックです。

    役割としてまず、トラブルが起こったときの解決手段のひとつとなることがあげられます。事前にトラブルを想定し、ルールを定めておけば迅速な解決ができ、トラブル発生の抑制にもなります。不要なトラブルへの対応は生産性の全くない作業です。

    またお互いがルールを守ることで、社員は会社に対する安心感が生まれ、社員のモチベーションアップを図るという役割もあります。社員のやる気と業績は連動しているため、社員のやる気が上がると会社の業績も上がっていきます。

    リスク管理と社員のモチベーションアップを図る就業規則は、会社の業績を拡大することになるのです。
  • 1.会社がトラブルを回避するためのツール
  • トラブルの原因は、リストラや懲戒などの「解雇」と、サービス残業などの「労働時間」に関するものがほとんどです。会社への忠誠心が薄れる退職後に労働基準監督署に駆け込む社員も、昨今では珍しくありません。労働基準監督署から是正勧告を受けると、多額の残業手当を支払うことにつながるリスクがあります。
    また何より、トラブルが多発するような職場では、社員のモチベーションが下がり、業績の低下にもつながります。
  • 2.社員のモチベーションアップするためのツール
  • 「この会社に入って良かった」「こういう会社で働きたい」「会社のために自分は何をすべきか」これは、社員と会社が互いに守るべきルールを明確にし、その運用を通して生まれる、長期的な信頼関係です。目先の利益で社員に不安や不満を与える会社は、人材が確保できず、会社の存続問題にも発展しかねません。
    就業規則は、そもそも労使が安心して職務に専念できる環境を作るためのルールブックです。社員が安心して働くことのできる職場を作り、モチベーションアップにつなげることが重要な目的です。

    これらの就業規則の効果を得るためには、やはり法令と労務管理における専門家である社会保険労務士のアドバイスが必要です。 弊所では、ヒアリングにより現状の把握と潜在的な課題の洗い出しを行い、問題点を解決するための、実情に合った最適な就業規則をご提案いたします。 また各企業の状況に応じた賃金規程、退職金制度、人事考課制度等の見直し、社員の評価と処遇のリンクを追及した人事制度の構築を支援し、お客様の会社が「強い組織・体質」になるサポートをさせていただきます。

就業規則でできること

  • 1.会社を守る就業規則
  • 労働基準監督署は、会社と社員との間でトラブルが発生した場合、労働基準法と就業規則を基に判断します。労働基準法をはじめとする労働諸法令は、会社を守ってくれる法律ではなく、社員を守る法律です。会社を守ってくれる法律はありません。唯一会社を守ることができるのが就業規則だけなのです。
  • 2.会社の経営理念の明示
  • 就業規則は、基本的に労働基準法などの法律の範囲内で会社が自らの考えに基づいて自由に作成するものです。自由に定めることによって、会社ごとに個性のある、また会社の実情を正確に反映した本当に必要な就業規則ができるといえます。
    経営理念を達成するために会社の方針、経営戦略、存在目的を就業規則に明確に示し、会社と社員の共通認識を作り出すことが重要です。
  • 3.労使トラブルの未然防止
  • 最近は社員の権利意識の高まりから、労使トラブルが増加していますが、ちょっとした誤解からトラブルとなるケースがほとんどです。また、就業規則の不備が原因となっていることも多くあります。もしトラブルが発生した場合でも、解決を容易にするのは、リスク管理がされている就業規則です。事前にトラブルを想定し、それらに関するルールが定まっている就業規則は、迅速に解決できるだけでなく、トラブル発生の抑制効果にもなります。
    不要なトラブルを避けることで、社員は安心して業務を行うことができます。結果、会社への信頼が高まり、モチベーションも向上し、会社の競争力の強化へとつながります。
  • 4.社員の問題行動の予防(モラルの確立)
  • 従来モラル教育は会社ではなく、家庭や学校で教育され身につけるものでしたが、現代社会ではそうはならず、モラル教育も会社の役割となってきています。一人の社員の問題行動も、取引先や世間は「誰が?」ではなく「どこの会社が?」という視点で目を向けます。また、問題行動のある社員をそのまま放置しておけば他の社員から不満が出て、職場の士気が下がります。
    服務違反や守秘義務違反に起因するトラブルを防止するためには、社内のルールを明文化することが必要です。ルールが明確にされているからこそ、一人一人の勝手な判断・行動を防ぐことができ、社員のモラル意識が高まります。
    違反社員には懲罰を与える必要がありますが、この懲罰の根拠となるのが就業規則です。懲戒規定に基づいて、始末書・減給などの処分を行う必要があります。結果、他の社員が問題を起こすことを予防することにもなります。
  • 5.社員の定着率アップ
  • 生産性の向上のためには社員の定着率を上げることが欠かせません。社員の定着とは、基本的には金銭的欲求を満たしたり休暇を増やしたりすることだけが施策ではありません。社員の働きやすい環境を作ることがとても大切です。例えば、6Sと言われる【整理・整頓・清掃・清潔・しつけ・作法】を日常生活の当然の行為として、しっかり定着させることで、職場環境が改善され、社員の定着率アップにつながります。
    ただ、総じて経営者が社員の定着を願っているといっても、それを表現する機会は少ないかもしれません。だからこそ、会社のルールブックである就業規則にその思いを表現する必要があります。6Sなど当たり前のことを社員の判断や裁量に任せていても、なかなか改善されませんので、ルール化することをお勧めします。

作成と見直し

  • 1.作成義務
  • 社員10名以上(パートタイマー、アルバイト等も含む)の会社は、就業規則を作成し、労働基準監督署へ届出ることが、労働基準法で義務付けられています。社員10名未満では作成義務はありません。しかし、就業規則は会社が発展し続けていく上で必要なルールですので、実務の円滑な遂行を目指すのであれば、社員数に関係なく作成することをお勧めします。また、社員数が増えるほど、規則やルールを変えるのは難しくなるものです。経営者の目が届く間は、社員の意識を変えるのにそれほど時間や労力がかからなくても、社員数が増えるにしたがい、経営者の思いが社員に伝わりにくくなっていきます。一度形成された社内ルールや社員の意識を変えるには、非常に多くの時間や労力が必要となってしまいます。
  • 2.定期的な見直し
  • 1.会社の成長に合わせるため
    会社の成長とともに、業務内容、経営戦術も変化し続けていきます。その変化に合わせ、会社のルールも変化させなければ、新たなトラブルに対応することはできません。社員数が10人、50人、100人では、それぞれの社員数に応じた就業規則が必要です。社員の増加や、組織の改編・多様化に就業規則が追いついていなければ、すぐに何らかのリスクにさらされてしまいます。

    2.法改正へ対応するため
    トラブルの現場では、就業規則の古さに原因があることも少なくありません。現行法に合致していない規定は、当然に法定通りに読み替えられます。古い就業規則は、効力がないばかりか、実際に起こったトラブルに対し大きな損害を会社に与えることにもなりかねません。現時点での関係諸法令に適合しているかの点検作業が必要です。
  • 就業規則は雛形である
  • 特に労働基準監督署の雛形は法令以上に、労働者保護の性格が強い規定がある場合があり、会社の考えと一致しているかどうか確認が必要です。規定の意図を理解せず、雛型どおりに作成すると、リスク回避どころか多大なリスクを抱える可能性があります。リスク回避のためには、規定の意図を理解し、会社の実情に合ったものにする必要があります。
    また、就業規則は業種別に重視される規定や必要となる規定も異なりますので、事務系、製造系、医療系、サービス業系では当然その内容も異なってきます。
  • 就業規則の内容と運用にズレがある
  • 就業規則は社員に周知され、正確に運用されることで、初めてその価値があります。就業規則で定めたことは、会社と社員の約束事であり、その内容は実態に合ったものとしなければなりません。実態とそぐわないものは、トラブルの最大の火種です。
    例えば、年次有給休暇ですが、就業規則には法定通りの規定がされていても、実際は有給日数が管理されず、取得の手続きも曖昧で取得率がかなり低い場合、労働基準監督署の調査を受ければ、是正勧告の対象となります。
  • 社員の就業規則はあるが、パートタイマーの就業規則がない
  • 社員向け就業規則のみで、パートタイマー等を雇用している場合、パートタイマーにも社員向け就業規則が適用され、会社にとって不利な場合が多くなります。一般的に社員とパートタイマーでは労働条件等が異なり、社員向けの就業規則をパートタイマーに適用することは、実務上無理があります。パートタイマーとの不要なトラブルも少なくありませんので、パートタイマー就業規則も必要な規則と言えます。特に労働契約法の改正で無期転換の対象となる有期雇用契約者においてより重要性が増しています。
  • 人件費の効率活用を図りたい
  • ダラダラ残業の防止や長時間労働の抑制は、知らずに払いすぎていた残業代、休日手当など、人件費の削減を図るとともに、生産性の高い仕事の追及にもなります。
    残業の事前承認制の運用、適正な労働時間数把握とこれに基づく点検、ダラダラ残業防止のための訓示・残業命令禁止規定の整備、職場風土の改革のための対策などを規定していくことが効果的です。

残業の事前承認
第○○条社員が所定労働時間を超えて勤務をする場合には,所属長から事前に間外労働の可否および時間外労働時間数についての許可を得なければならない。やむを得ない事由がある場合には,事後承認も認めるものとする。
2社員は,業務の遂行に必要な時間数を超えて時間外労働の申請をしてはならない。
3所属長の許可を得ずして,時間外労働または休日労働をしても,会社は原則としてこれを労働時間としては取り扱わない。
労働時間の管理
第○○条日々の労働時間の管理は原則として社員が行い,所属長の承認を得た自己申告書をもって行う。ただし,自己申告書に記載された時間が正確ではないと認められたときは,その所属長の把握する時間とする。
2人事管掌部門は自己申告に基づく労働時間管理の対象社員について,申告時間が適正であるか否か定期的に確認することとする。
ノー残業デーの設定
第○○条毎週●曜日は,原則として「ノー残業デー」とする。やむを得ない事由があり,残業を行わせた場合,所属長は当月末日までに人事管掌部門にその事由等を報告する。
  • ワンポイント
  • 就業規則の作成・見直しは、まずは会社側の想いを余すことなく反映させます。ただ、就業規則はその存在よりも運用が大切であるため、労使双方が納得できる内容に作り上げていくという視点も大切です。そのためには会社側からの一方的なものにするのではなく、必要に応じて社員からのヒアリングを行い、その中で労使双方の意見を出し合って合意した内容を規定するというような、労使双方で作り上げていく作成方法も一考の価値があります。
    このような方法は時間がかかるかもしれませんが、労使双方で就業規則に対する共通認識を持つことができ、社員も会社に対する協力姿勢が生まれ、就業規則の重要な目的のひとつである社員がモチベーションアップするためのツールとすることができます。

社員への周知

  • 就業規則を社員に周知することは、労働基準法で義務付けられています。就業規則の周知とは、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、または備え付けること、書面で交付すること、電子データとしてパソコン等で常時確認できること等を意味しています。また、社員が必要なときに容易に確認できる状態にあることも要件とされています。
  • 1.就業規則説明会
  • 義務だから周知するのではなく、積極的に運用していくことに就業規則の価値があります。作成・変更しただけで満足するのではなく、社員への周知を丁寧に行い続けることに力を入れなければなりません。
    スムーズな運用のためには、まず社員にルールを知ってもらうことが必要です。積極的な理解を得るためには、直接社員に説明をするのが得策であり、ご依頼があれば弊所の社会保険労務士が説明会を行います。作成・変更した理由、施策の検討結果を説明することで、社員の自立的行動が期待されます。
    社員は、会社が自分たちをどう思っているのかを知りたがっています。経営者の想い「こういう会社にしたい」「こういう社員と一緒に働きたい」を発信する絶好の機会です。継続的な発信を行うことで、全社員が同じ価値観を持ち、同じ方向へエネルギーを集約させ、経営理念を達成することへとつながります。
  • 2.就業規則ハンドブック
  • 弊所では、職場で日常的に使うことができるツールとして、就業規則の重要な部分だけを抜き出したハンドブックを作ることをお勧めしています。 会社の労務管理の質を向上させ、安心して働くことができる職場作りの一役になります。
    就業規則で使われている専門用語ではなく、平易な言葉で、シンプルにスッキリと社内ルールをまとめます。経営者と社員のコミュニケーションのツールとして、社員教育の教材にもなります。採用内定時の新入社員の教育、朝礼時の読み合わせ、社内研修にもお使いいただけます。

  • 記載項目(ご希望のものだけを選択することが可能です)
  • 会社の経営理念
  • 当該年度の目標や方針
  • 社員心得
  • それまで口頭で説明していた社内ルールやモラル
  • 社内ルール作成の目的や解説
  • 会社にとって重要度、関心が高い解雇、懲戒処分、退職手続、違法行為に関するルール
  • 社員にとって重要度、関心が高い休暇、残業、給与、福利などのルール
  • 労災保険、雇用保険、健康保険の法定福利の内容
  • 法定外福利の活用方法

本則と別規程

    就業規則は、読みやすく、わかりやすいものにする必要があります。そのため体裁を整え、章立てをし、条番号を付与します。ひとつの規則で全体が把握できることは重要ですが、何もかもを網羅しようとすると、条文数が増えてしまい、読みづらくなります。また、作成以後の変更や追加などのメンテナンスが煩わしいものになってしまいます。
    そこで、就業規則「本則」には大枠だけを定めておき、詳細な内容は本則とは別に別規程として定めることが一般的です。 別規程も含めてひとつの就業規則となりますので、別規程を作成した場合、その全てについて労働基準監督署へ届出る必要があります。

  • 主な別規程一覧
  • パートタイマー就業規則/契約社員就業規則/嘱託就業規則/臨時社員就業規則/派遣社員就業規則/賃金規程/嘱託社員給与規程/退職金規程/出向規程/継続雇用規程/育児・介護休業規程/慶弔見舞金規程/出張旅費規程/マイカー使用規程/車両管理規程/人事考課規程/安全衛生管理規程/安全管理規程/災害補償給付規程/ハラスメント防止規程/情報管理規程/機密文書管理規程/電子メール利用規程/パソコン使用規程
  • マイカー使用規程
  • 無免許で車を運転し、事故を起こすニュースは時より耳にします。その場合、会社は無免許の社員に運転させていたことになってしまいます。入社時だけではなく、毎年期日を決めて、社員の免許証がどのような状態なのかを確認するだけで、会社のリスクは格段に軽減されます。
  • 車両管理規程
  • 会社の財産である車両を管理するためだけでなく、交通事故対策の側面からも車両管理規程は重要です。特に業務利用の車両で事故を起こし、加害者となった場合は会社にも使用者責任や運行供用者責任など損害賠償責任が発生することがあるので、その運用にも十分な注意が必要です。
  • 社員個人情報管理規程
  • 会社は、個人情報の漏えい事故を起こしてしまった場合、個人情報保護法違反を問われるのみならず、本人を含めた利害関係人に対して有形無形の損失を与えることはもちろん、顧客をはじめとする社会の信用を喪失してしまいます。
    競争の激化する社会において、①個人情報保護法を遵守する体制を構築すること、②個人情報の漏えい事故を防止する体制を構築することは重要事項であるといえます。
  • 慶弔見舞金規程
  • 社員の結婚や葬式などで慶弔見舞金を支給していても、明文の規程がないと、過去の帳簿を探したり、そのときどきによって金額が変わってしまうなどして業務が煩雑になったり、せっかく慶弔見舞金を支給しても社員が不満に思ったりすることもあります。慶弔の頻度は多くないかもしれませんが、事務の簡素化、社員の意欲低下を防ぐためにもやはり明文の規程は必要です。
  • 電子メール利用規程・パソコン使用規定
  • 就業時間中に業務と関係ないことでインターネットやSNSを利用しないことをはっきりルール化する必要があります。
    また、インターネットの利用は不正な外部からのアクセス、会社の秘密情報の漏えい、個人情報の流出、ウィルス感染等の危険に常にさらされています。ファイル交換ソフトの取り込み禁止、インターネットの掲示板等で会社、会社関係者及び取引先を誹謗中傷すること、または不利益を与える情報発信を行わないことなども規定する必要があります。